サイケへの扉
ロック名盤からサイケ盤へと降りてゆく
恐るべしビートルズの才能、全曲が名曲と言って過言ではない超弩級な名作

66年作。「キャッチーなメロディ」、「新しい音楽を創造しようとする才気」という2つの点において、間違いなく最高傑作。「ELEANOR RIGBY」「HERE THERE AND EVERYWHERE」「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」など、ポールのメロディ・センスは群を抜いていて、ジョンも、「I'M ONLY SLEEPING」「TOMORROW NEVER KNOWS」「SHE SAID SHE SAID」など、サイケ感いっぱいの尖った楽曲で才能を爆発。「TAXMAN」「LOVE YOU TO」「I WANT TO TELL YOU」など、ジョンやポールとは異なるセンスを発揮して、彼ら2人に比肩するまでになったジョージの存在も特筆もの。バンドとしてのエネルギーは、本作が最高ではないでしょうか。それにしても、全部名曲と言っていいほどに楽曲が凄いです。レッドゾーン振り切りっぱなしの超弩級な名作。
新しいロックを創造しようとする「才気」、そして「柔軟さ」。
永遠に止むことのない音の渦…と、男の色気。
オハイオ産ヘヴィ・サイケ・トリオ、GRAND FUNKファン必聴のUSヘヴィ・サイケの傑作、72年作

オハイオ産ヘヴィ・サイケ・トリオが72年に発表したUSヘヴィ・サイケ史上に残る傑作。冒頭M1から只者じゃない感がビシバシ伝わってくるヘヴィネスっぷり!手数多くアグレッシヴなドラムと憂いのあるコーラスが泣ける“哀愁とダイナミズム”なM5、なんといっても特筆はラストに収められた17分にも及ぶ長尺タイトル・ナンバーM8。メロウなアルペジオ&コーラスも効果的な、酩酊感誘うダウナーな名曲です。決して大袈裟ではなくGRAND FUNKを彷彿とさせるヘヴィでダイナミックなトリオ・サウンドを聴かせてくれる凄い連中です!
やっぱりハード・ロックが好き。
ジャケットのインパクトに匹敵する強烈サイケ・ハード!原盤は600ドル超えの激レア盤

米アラバマ産5人組サイケ・ハード・バンドの71年唯一作。原盤は600ドルオーバーの超レア盤としても有名。夢に出てきそうな薄気味の悪いジャケットにまず釘付けになりますが、サウンドの方も“奇妙”と言うのとはまた別物ながら独特の湿った空気感を孕んでいます。ブルース/ジャズを基調とした武骨なサイケ・ハードにプログレ/ジャズ・ロックのエッセンスをまぶしたといった印象。ギターのStan Leeはブルージーな激渋ソロから西海岸フィーリングのジャムまで見事な表現力です。特筆すべきは、深刻なハモンド&深いエコーのかかった激情ヴォーカルが印象的な組曲調の長尺ヘヴィ・サイケ「The Change」。粗削りながら、パープル/ツェッペリンが融合してサイケに接近したようなクラシカルでドライヴ感溢れる英国的名曲です!
デトロイト出身のガレージ/ヘヴィ・ロック・バンド、声高なパンク精神とともに産声をあげた69年デビュー作

「いつまでもジャムってんじゃねえよ!早いとこ引っ込みな!」そんな意味不明なアルバム・タイトルで華々しいデビューを飾った、MC5の最初の起爆点!68年、デトロイト出身のロックンロール・バンドとしてキャリアをスタートさせた彼等ですが、後世ではその生々しくも激しくのたうつ演奏から、パンク、ガレージ・ロックの元祖とも賞されています。そんな彼らの最大の威力は、やはり生のライヴ。そのハイ・ボルテージな一瞬間を捉えた本作は、後のハードなロックンローラー達に、ジャンルを超えて影響を与えて来ました。音楽が一方で根源的に持っている、破壊衝動、荒々しくも暴力的な衝動がエレクトリック・ギターの轟音に昇華されて行きました。この純粋にハイを目指して突き進む理屈のいらない美しいロックンロールが、音楽的反骨性の精神的支柱としてリスペクトされ続けているのです。
向こう見ず!疾走する衝動の塊!
シスコ・サイケの代表的バンド、ガルシア出自のルーツ路線に回帰したカントリー・ロック永遠の名作、70年発表

70年作。グレイトフル・デッドと言うと、長尺のギター・ソロをフィーチャーしたサイケデリック・ロックというイメージですが、本作で聴けるのは、美しすぎるメロディとハーモニー、しなやかで哀愁溢れるアンサンブルが印象的なアメリカン・フォーク・ロック。1曲目「BOX OF RAIN」が奇跡のように素晴らしく、憂いのある美しすぎるメロディ、心に染みるコーラス、メロディアスなギターは、何度聴いても感動的。NEIL YOUNG、CSN&Yあたりのフォーク・ロックのファン、WILCOなどの90年代以降オルタナ・カントリーのファンも間違い無く気に入るでしょう。アメリカン・ロック永遠の名作。
アメリカン・ルーツ・ミュージック。
LA産、「フォーク・ロック界のジミヘン」の異名をとるArthur Lee率いるサイケ・フォーク・ロック・バンド、67年発表の傑作3rd

Jimi Hendrixとも交流があった黒人ロック・ギタリスト、Arthur Lee率いるサイケ・フォーク・ロック・バンドが67年に発表した傑作3rd 。“黒人音楽とTHE BYRDSとの邂逅”とも称された傑作1stの流れを汲んだフォーク・ロック・サウンドに、本作では甘美なストリングスなどのアレンジを導入。サイケ・ポップやネオアコのリスナーまでを魅了する幻想/白昼夢のようなエッセンスを湛えています。Arthur Leeのペンによるカオティックな歌詞も本作の特徴で、甘美で夢見心地なサウンドとの奇妙なコントラストも一興。
飾らず、裸の言葉を調べに乗せて。
94年に他界するまでに唯一この世に残してくれたアシッド・サイケ・フォークの大傑作。

Quicksilver Messenger Serviceに関わりがあり、 Yongbloodsの「Get Together」、Jimi Hendlixの代表曲、「Hey Joe」の作者でもあるDino Valenteが、94年に他界するまでに唯一この世に残してくれたアシッド・サイケ・フォークの大傑作。移ろう陽炎のような、深いリヴァーヴの彼岸で揺れ動く、時に激しく、時に沈み込むかのような情感豊かなDinoの歌声と、掻き鳴らされる12弦ギターの音色が、フラワー・ムーブメントの晩鐘を鳴らすかのように鳴り響きます。今作のプロデュースには、Bob DylanやLeonard Cohenを手掛けたBob Johnsonが関わっているようですが、この時間軸を曲げるかのような独特なサイケデリアは、特定のジャンルの中に沈み込むことの出来ない特異な時空間を提示しており、決して古びる事のない心の叫びを内包し続けているのです。
夢見ることならめいっぱい。
カリフォルニア産ソフト・ロック/ポップ・サイケの伝説的グループ、完璧な構築美と当時最新の録音技術で制作された68年唯一作

Curt Boettcher率いるカリフォルニア産ソフト・ロック/ポップ・サイケの伝説的グループが68年に発表した唯一作。68年という時代を代表する傑作というだけでなく、ロック史を通してもクオリティの高さでは最高峰に位置する永遠のマスターピース。8チャンネルのレコーダー2台(計16トラック)に録音された、瑞々しいコーラスや緻密なアンサンブル。そして、Curt Boettcherだけではなく、その他のメンバーが持ち寄った楽曲も含めて、驚くほど流麗なメロディ。そして、68年とは思えないクリアで洗練されたサウンド・プロダクション。すべてがマジカル。
米エレクトロニック・ポップ/サイケの歴史的大傑作、60年代とは思えない驚異のサウンド!

ニューヨーク出身、ドラマーのDan Taylorとシンセ奏者のSimeonによるデュオ。67年の1stで、米エレクトロニック・ポップ/サイケの大傑作。プリミティヴでエネルギッシュなドラム、Simeonが自作したアナログ・シンセが放つ浮遊感たっぷりの電子音を中心に、アシッド臭いっぱいの弛緩したリコーダー、クラシックなどのサウンド・コラージュ、呪術的&メロウなヴォーカルが渦巻くサウンドが持ち味。60年代とは思えない前衛的なサウンドながら、牧歌的ですらあるポップさが同居しているのが凄いところ。メロディの美しさは特筆もので、ソフト・ロックの方向で作品を作ったとしても、歴史的名作として名を刻んでいたことでしょう。恐るべしSILVER APPLES。本当に凄いデュオです。
革新と斬新。
フランスを代表するグループ、海賊ラジオ局のテレパシー放送という設定の「ラジオ・ノーム3部作」の完結編、74年作

David Allenを中心に結成され、個性的な浮遊感を持ったサイケデリックなスペース・ロックを確立。メンバーの出入りの多さからその人脈図は幾重にも枝分かれし、ファミリーバンドも多く存在し、プログレッシブ・ロックシーンに留まらず、エレクトロシーンなどにまでその影響を与えるグループの74年作。「Radio Gnome Invisible」と題されたシリーズの第3弾であり、3部作の完結編に位置づけられる本作は、サイケデリック・スペース・ロックバンドとしてのGONGの集大成的な一枚であり、バンドの代表作との評価も高い名盤。特に、執拗な反復の上でDidier Malherbeのサックスが響き、Steve Hillageのサイケデリックなギターが空間を支配する様は圧巻です。
此処ではない、何処かへ...
シスコ産王道サイケ・ロック・バンド、サマー・オブ・ラヴを象徴する67年発表の傑作2nd

60年代後期、米西海岸で沸き起こったサマー・オヴ・ラヴを象徴する彼らの2nd。67年作。歌唱、ルックスともに圧倒的な存在感を放つGrace Slickが本作より加入。メインヴォーカル時にとる、一度聴いたら耳から離れないほど強烈なビブラート歌唱。バックヴォーカルとしても男性陣と見事に溶けあった流麗なコーラスワークを聴かせてくれる。歌声もさることながら、Graceがもたらした最大の功績は、自身作「White rabbit」に顕著であるように、バンドにサイケデリックな要素を持ち込んだこと。そうしたバンド的な意義、そして西海岸サイケデリック・カルチャー黎明期の象徴としての時代的な意義。その互いを兼ねそなえた数少ない名盤。名曲「Somebody to Love」収録。
すべてのサイケ道はシスコに通ず。
時代とシーンを越えて今なお多大な影響力を放つアメリカの異端児ロッカーが産み落とした金字塔的問題作、69年作3rd

FRANK ZAPPAと並んでインプロヴィゼーションをロックの文脈に捻じ込んだ、偉大なるアヴァンギャルド・ロック・ミュージシャン、Captain Beefheartが69年に発表した、歴史的大傑作。9ヶ月間の缶詰合宿の中で録音されたMagic Bandの狂気的な音像は、当時の音楽界に衝撃を与えたOrnette Coleman等、フリー・ジャズ勢の姿勢にも強く影響を受けていたようです。そしてこの音のカタマリを纏め上げたのがあのZAPPAであったことから、よりカオスティックでアナーキーな雰囲気が充満した内容ですね。この調和よりも破壊と変化を求めたサウンドは、90年代以降のオルタナやロウファイ・インディーにも強い影響を与えています。この捩れるギター、のたうつドライング、定まりのないヴォーカルに、サイケの魂が。
脳汁出っぱなしですけど...
目次
サイケへの扉
- ロック名盤からサイケ盤へ
サイケの多面性
カテゴリーとキーワードで掘り下げる
- サイケデリック・ロック(雑多/分類不能)
- ヘヴィ・サイケ
- サイケ・ハード
- ガレージ・サイケ
- ルーツ系(フォーク・ロック/カントリー・ロック)
- アシッドフォーク
- レイト60s英サイケ・ポップ
- ソフト・ロック/ポップ・サイケ
- エクスペリメンタル/電子/アヴァンギャルド
- 異次元/宇宙/オカルト/摩訶不思議
- トロピカル/エスノ/オリエンタル/モンド
- サイケデリック・ロック(王道シスコ系)
- アウトサイダー/一匹狼/孤高
- サイケの洗礼を浴びたロック以外











