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トゥール、トゥルトゥル(3 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
ボストンよりさらに寡作なバンドであります。でも新作をリリースすれば当然のように売れますし、ツアーが盛況になります。プログレは欧州(もしくは辺境)のもの、という固定観念を打ち壊す存在です。いや、プログレってのは、ロマンと抒情なんだよ、とおっしゃるかたには、クリムゾンが一緒にツアーしたのが彼らだよ、と申しておきましょう。
さて、90年代以降のUSロックがどれだけ難しいか。これは「グランジ」というムーブメントが起ったからです。それぐらいシーンを打ちのめす存在でした。80年代での英国ロックがパンク(もしくはスカ)に立ち向かった様相と似ています。グランジを否定するにせよ、リスペクトするにせよ、無視することは許されない。スルーすれば同時代性が疑われる、という状況だったと思います。現在まで続くオルタナという流れは、間違いなくグランジを通ってきた流れです。
トゥールは、グランジを通過しながら、リズムを新機軸によって生き返らせ、全く新しい音を構築してみせました。「アニマ」や「ラタララス」ほど完成されていないですけれど、彼らの新機軸であるリズムの復権はこの盤から始まっています。杭打ちのようなベースがリフとなり、リード楽器となります。メイナードの表現力こそ未完成ながら、彼らで最も聴きやすい盤でありましょう。2023.11.01